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Ron SexsmithがKinksの大ファン、しかも『Village Green Preservation Society』や『Arthur』といった隠れた名作に傾倒していると主張したとしても、何も不思議ではない。彼自身のアーティストとしての洞察力は彼らと同じようにするどく、また同じように時代との接点と外れているからだ。もし、Kinksが何世代も前の過去の時代に耳を傾けているのだとしたら、Sexsmithは'60年代のまさしくその瞬間を惜しんでいるのだろう。ヴェルヴェットの声を持つ吟遊詩人たちがシンプルでオープンな歌を、きらびやかなサイケデリックやとろけそうなソウルに混じってラジオから届けられた時代だ。

だが、Sexsmithは単なる伝統主義者ではない。彼の歌は、外の世界が嫌な感じに、冷たくなるにつれて、内面に向かってますます激しくフレーズと構成を追求していく。彼はそうした傾向の多くを、自身のカナダ的遺産のせいにしている。Joni Mitchel、Neil Youngといったフォークシンガー、それと(これはないかもしれないが)Triumphの面々から、Gordon LightfootやLeonard Cohenへと通じる系譜を継承しているのだ。

Sexsmithのアルバムは2枚ともMitchell Froomがプロデュースを手がけており、彼のタイトに抑制されたスタイルのおかげで、震えるような発声の周囲には充分な空間が確保されている。Sexsmithのリズム感は的確なもので、彼の巧妙なフィンガーピッキングは楽曲のジェントルなソウルを強力にサポートしている。こうした作品のこじんまりとした風情は、Tim Hardinの音楽にさえ匹敵するものだ。Hardinはいかさまでジャンキーなアーティストで、音楽的才能と破滅願望を持ち、枯渇と耽溺の間に陥る前に驚くべきアルバムを生み出した。

Sexsmithには、彼よりもずっとストレートな切れ味がある。彼は30歳代で、結婚してティーンエイジャーの子供もいるが、そのことでクリエイティヴな直感が損なわれることはない。SexsmithのファーストアルバムはElvis CostelloとMojo誌の両方から、その年の最高傑作に挙げられるほどの絶賛を受けた。セカンドアルバムの『Other Songs』はさらに強力な作品だった。これは30分あまりの時間に14曲を収録した、素早くて静かなソングサイクル形式の作品で、それまで多少なりとも残っていた疑いを払拭し、Sexsmithがその世代で最高のソングライターのひとりであることを証明している。

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