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The Carpenters のヒットで有名な「Rainy Days and Mondays」という曲を初めて聴いた時、その物憂げで切ないメロディから歌詞の世界を想像して、" 雨の日と月曜日が憂鬱なのは世界共通なんだな "と思い妙に嬉しくなったのを覚えている。この曲を知ったその日から雨の日と月曜日の存在が少しだけ特別なものになった。

この曲を書いたのが Roger Nichols & Paul Williamsという作曲家コンビで、60年後半代から70年代にかけてBurt Bacharach=Hal David に続く人気作曲家チームとして一時代を築いた。しかしここ10年では Roger Nichols といえば、まずA&Mの1stアルバムという評価が定着したようだ。ソフト・ロックの代名詞としてだけではなく、時代を超えた名盤として今もなお愛され続けている。

Roger Nichols は'40年9月17日モンタナ州に生まれる。両親が音楽家だった影響で幼い頃から Richard Rodgers=Lorenz Hart といった作曲家たちの作品に親しむ。更に Burt Bacharach や Carole King などにも影響を受け60年代中頃、後に The Parade のメンバーになる Murray MacLeod とその妹 Melinda と共に Roger Nichols Trio を結成する。デビュー・シングルは'65年の暮れに依頼があって吹き込んだクリスマス・ソング「St. Bernie The Sno-Dog」であった。

旧友 Tommy Lipuma がリバティ・レコードからA&Mに移るのをきっかけに Roger Nichols らも'66年にA&M入りする。初めの2枚のシングルは Bacharach やCarole King の作品のカバーだったが、3枚目のシングルのA面「Just Beyond Your Smile」でやっと Roger の作品が登場した。ここまでが Roger Nichols Trio の名義である。どれもヒットとは無縁のまま'67年には新たなグループ名をそのままタイトルにした『Roger Nichols & TheSmall Circle Of Friends』がリリースされた。プロデュースは Tommy Lipuma。Nick DeCaro 、Bob Thompson 、Marty Paich ら達人が担当した繊細で多彩なアレンジに、MacLeod 兄妹の高度なハーモニーが絡まる。今聴いても古臭さは全くなく、まさにマスターピースだ。グループの活動と平行して The Sandpipers や The Four Freshmen などのプロデュース / アレンジにも携わった Roger は'67年に Paul Williams と出会う。意気投合した二人はすぐにコンビを組み名曲を生み出し始める。最初の作品の Claudine Longet「It's Hard to Say Goodbye」や Small Circle Of Friends のラスト・シングル「The Drifter」、もともとは銀行のCMソングとして作られたが The Carpenters によって全米2位の大ヒットとなった「We've Only Just Begun」、Roger 自身もフェイヴァリットだと挙げる「I Won't Last a Day Without You」などはポップス史に残る珠玉の名作である。

'71年には Paul の1stソロ『Someday Man』を Rogerがプロデュースするなど蜜月時代は続くが、2人の仲は次第に上手くいかなくなりコンビを解消してしまう。そのため Roger は精神状態が不安定になりアルコールに溺れる日々が続き、ヒットからも遠ざかっていった。

その後'80年に竹内まりやのアルバムに曲提供をしていたり、日本でもポピュラーなネスカフェの美しいCMソングを作ったりと作曲活動は地道に続けられたようだが、'87年に日本で『Roger Nichols & The Small Circle Of Friends』が初CD化されるとシブヤ系の間で大ブレイク。